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8月 幸せのぎゆうぎゆう詰めやさくらんぼ 嶋田麻紀 ~令和元年のサクランボ事情~

★今年のサクランボ戦争が7月20日をもって終結しました。と言っても、4、5年前と違って規模は縮小しています。一昨年、北面(惠泉塾の北側にある山の斜面)のサクランボが老木のため、ほとんど伐採されたこともあり、今年も南面のみの収穫となりました。
かつては、早朝食事前から収穫を始めて作業時間も延長して総力戦で行い、打ち上げはサクランボの木の下でバーベキューを楽しみながら、残ったサクランボ食べ放題という大盤振舞いだったそうです。今年は、選別後、商品にもならず、ジャムにも難しいC級品が夕食時に並べられて食する程度のささやかなものでした。
ところが、戦果は、A級品182箱、B級品45箱、南陽(品種名)5箱、パック売りも含めて総数240箱分、昨年と比べて3倍の出荷となりました。しかも、例年なら、お客様が送り主に対して「高価な品をありがとう」「珍しいものをいただいて…」と言うところ、今年の反応は、「こんなに甘くて美味しいサクランボは初めてだ」「近所にお分けしたら大層喜ばれた」など、賞賛をいただくケースが多かったそうです。
また、プレゼントされたものが美味しかったので、改めて注文したいとのお客様が3件、リピーターが4件あり、例年にない反応がありました。担当の責任者はじめ、携わった関係者全員で喜び合い、ご褒美をいただいたような、報いられたような思いです。
今年の戦果を振り返って、考えられることは、①天候に恵まれたこと、②施肥防除が適切であったこと、③剪定、実選りが良かったこと、④摘み取りのタイミングが良かったこと、などが挙げられるかと思います。おかげで受注残もなく、注文をお受けしたものすべてを出荷できたことが何よりの喜びでした。
来年も、今年の体験を踏まえて、より一層美味しく、お客様に喜んでいただけるサクランボづくりに励み、関係者一同、一致協力、“愛し合って一つとなる”惠泉農園を目指します。本当に今年はすべてに感謝でした。ご注文いただいたお客様に、心より感謝申し上げます。

(惠泉農園 平野友紹)

 ★今年は、私たち精鋭(?)部隊が朝食後から朝礼まで、サクランボ摘みの先発隊をさせていただきました。早朝のさくらんぼ摘みはワクワクするほど楽しい作業でした。久しぶりに南面(惠泉塾の南側にある山の斜面)に登ると、光線の具合によって、眼下に広がる余市豊丘町のロケーションの美しさにハッとさせられます。広大なパノラマに魅せられながら、目の前の樹木に心を集中させ、籠に新聞紙を敷いて摘み取りを始めます。
今年はサクランボにとって好条件だったようです。大切な実りの時期に晴天が続き、雨が少なかったせいか、割れや腐れ実やカビが少なく、完熟して鈴生りになっている実を一粒一粒、丁寧にはずしていく作業は喜びの多いお仕事でした。デリケートな果実なので、夢中になって籠いっぱいに摘み過ぎることは御法度…、二段までしか実は重ねられません。
また、我が娘のように大切に育てた樹木をいとおしむ農園主の思いを我が思いとし、大切に扱い、傷付けたりしないよう、常に求められています。リーダーは摘み取るタイミングにも気を配り、商品として最適な時期を判断する必要があります。
そのようにして摘み取ったサクランボは直ちに選果場に運ばれ、指で触れないように、細心の注意を払いながらパック詰めしていきます。プラスチック容器に、大きくて艶やかなサクランボの実を一粒ずつ慎重に、しかもスピーディーに入れていくのです。出来上がった商品は、ぴかっと光る赤いルビーを詰めた宝石箱のようです。しかも摘みたての、命ある果実の美しさは見飽きることがありません。愛なる神様の恵みは、押し入れ、揺すり入れ、溢れ返るばかりの豊かさ…、と聖書に書かれてある通りです。
短期決戦に終わりましたが、今年のサクランボ戦争の戦闘員の一人に加えていただき、堪能するほどの収穫を恵んでいただいた幸いを主に感謝します。

(文泉書院 長野初美)