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10月 読書の秋に『新版 壊れた私 元気になった』 ~惠泉塾はここから広まった~

 「2002年11月15日に『壊れた私 元気になった』の出版記念講演をして8年たった。今回、改訂新版

として出版する運びとなり、第2回目の講演会を同じお茶の水クリスチャンセンターで催した。思えば惠泉塾の短期促成の驚くべき発展はすべてこの講演会から始まったようだ。わずか8年で12棟の施設と15万坪の敷地、常時70人の共同生活、犬と鶏と山羊と山と川、それに260人の信徒の仲間、そして惠泉塾友の会の組織が生まれたのだ。聖書の神の力に圧倒される。」  これは2010年10月12日発行の「ニュースレター」に載せられた水谷先生の文章である。今年は2017年、それからさらに7年がたった。今回、在庫を売り尽くして新版として出版する運びとなり、3回目の出版記念会を東京池袋の自由学園明日館で催すことになった。 同じ本の版が変わるたびに東京で出版記念講演を催すなど、これまでにあまり聞いたことのない話ではないだろうか? なぜこの本が人から人へと手渡され、いつまでも読み継がれるのか。それは、時代のニーズに応え続け、いつまでも古びることがないからだと思う。 もともとは2000年、月刊誌『百万人の福音』に水谷先生が「小さき者たちの賛歌」と題して書かれたものに加筆してまとめた本で、連載当時からすでに大きな反響を呼んでいた。 今回、新版の巻末に加えられたのは「小さき者よ、大志を抱け」という文章だ。これは1998年の『百万人の福音』10月号(いのちのことば社)に紹介されたもので、惠泉塾とクラークの遺した信仰とを結びつけた特集記事である。水谷先生に連載記事を書く機会を与えて『壊れた私 元気になった』を世に出す前に、初期の惠泉塾に注目した編集部が月刊誌に載せた文章である。編集担当は玉井(旧姓村上)知栄子さん。彼女は、始まったばかりの惠泉塾を取材に来て、大自然に包まれた人生の学び舎で営まれている神のできごとをつぶさに見た。聖書の神が現代でもこんなに鮮やかに働かれる事実を知らせてクリスチャンに希望を与えたい、と熱く語る水谷先生の信仰に深い感銘を受けた。そして、あのクラークの遺した信仰との共通点をそこに見て、すばらしい特集記事に仕立てている。  以下に紹介するのはそのリード文である。「122年前、札幌農学校を指導し、聖書を根幹に人間教育を行ったウイリアム・S・クラーク。彼は新しい時代を築こうと理想に燃えた明治の学生に大きな感化を与え、各界の指導者を育てた。『青年よ、大志を抱け』と彼が語ったからなのか、スケールの大きいこの風土がそうさせるのか、北海道には優れた教育者が数多く輩出されている。札幌から程近い余市の地に『惠泉塾』を開いた水谷惠信さんもその一人だ。自然の中での共同生活を通して聖書を実践的に生きることを教えている。」  優れた教育者としての水谷先生の資質を見抜いた編集部が特集したかったのは、「クラークの遺した信仰」の鮮やかな継承とも言うべき惠泉塾ではないだろうか。かつての札幌の信仰が今、余市に根づき、死者をよみがえらせるようにして若者に生きる希望を与え、真っ暗な世の中に命の光を投じている。これをこそ、世の人は見るべきではないのか。  元来、惠泉塾は病気の人が集まる場所ではない。人が人生を見つめ直す信仰道場、生きることに悩み疲れた旅人が停泊する港だ。ここ惠泉塾のキリスト者集団が「札幌バンド」ならぬ「余市バンド」と呼ばれて、クラークの遺したフロンティア精神で歴史の頂点に立ち、この時代に有用な人材をたくさん生み出して行けますように。『壊れた私 元気になった』をまだ手にとって読んだことのない人にこの本が届きますように。アーメン