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9月 召団は“地下水”である

「札幌キリスト召団は“地下水”である。イエス・キリストはご自分のことを『まことの食べ物、まことの飲み

物』と言われた。パンも葡萄酒も食事に欠かせない物だが、人目を引くメインディッシュはいつも別に存在する。人はパンで皿に残った煮汁を拭い、葡萄酒で口を漱いで舌の味覚芽を洗う。食事を楽しむためにはなくてはならない物でありながら注目されづらい存在、それが救い主だとすれば、私たちの生きざまも、それに従うのが良い。惠泉塾が地下で元気に活動すれば、地上の樹木は絶えず青々と葉を茂らせ、豊かに実を結ぶ。人々が明るい笑顔で暮らせるように、我々は陰で見えない働きをしよう。」                         (2004年の「ニュースレター」より)  2014年8月3日、余市惠泉塾で東欧オペラ歌手を招いて野外のオペラ公演が実施された。当日は短い余市の夏の中で最も暑い日だったのではないかと思うが、地域の人々を含めた230人が一堂に会し、世界一流の瑞々しい歌声に聴き入った。蝉までも一緒に、まるで共鳴板のように歌に合わせて鳴くなど、珍しい現象を生じさせ、水谷社長の思惑通り、余市のお百姓さんたちや生き物たちと感動を共有できた愉快な一日であった。  私たちの共同体の将来的展望として、助け合って生産労働に従事しながら「キリストの愛」に基づく生活を通じて過疎と老齢化に悩む農村に若い活力を提供し、人生に疲れた旅人だけでなく、老人や障害を持つ人にとっても心和む終の棲み家となる“理想の村”をつくるという構想が、18年前、惠泉塾が生まれたときにすでに打ち出されている。『惠泉塾10年の歩み』を読んでこれを知り、この群れの預言的福音の性格には改めて驚かされる。神の言葉が現存し、生きて働いて群れをぐいぐいと導き続けて来たのである。地域の人にもお年寄りにも喜ばれる営みを目指しながら、この悪しき時代を執り成すために真っ直ぐに働かれる御手の動きには、鋭敏な一人ひとりでありたい。熱く燃えた短い夏が終わろうとしている。