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8月 どの子にも涼しく風の吹く日かな  飯田龍太

惠泉塾に“夏休み”がやって来た。神の国の働きに休みはないはずだが…といぶかる向きもあるかもしれない。

今、私たち70人家族の暮らしの中に子どもの声が響き渡っている。夏休みを利用した家族ぐるみの親子体験入塾者たちが何組か登場しているのだ。  8ヶ月の乳児から2歳、6歳、7歳、9歳、12歳、15歳、18歳、20歳と多彩な年齢層を集めた7月最後の日曜礼拝はなかなかの圧巻で、88人の参加者と共に夏休み親子体験塾さながらの“大家族礼拝”を守った。日曜以外の普段の労働日には、ホワイトボードで割り振られた畑仕事や鶏飼育、山羊の世話、老人との簡単な手作業、散歩、お絵かき、食事作りのお手伝いなど、大人に混じって働くことも体験している。8時半からの朝礼には、幼児の笑い声も乳児の喃語も耳新しい嬰児のような泣き声も混じる。いつもと違う空気が流れ、迎える側も迎えられる側も、ものめずらしそうに、楽しそうに交わっているのがいい。  豊丘の里は今、恐ろしいほどの勢いで伸びる夏草の緑に包まれている。鳥の音がみずみずしく響いて北国の空気を引き締めている。命が沸き立つような生命力旺盛な季節、駆け足で過ぎる短い夏をいとおしむように一日一日、丁寧に暮らしながら、私たちはそれぞれに余市を満喫していた。  そこへ訪れた小さなお客様たちが醸し出す空気が、また愛らしく牧歌的なのである。まだ丘の木々に残っているさくらんぼを摘みに、南斜面に上っていく子どもたち。丘陵から見渡す景観の美しさに歓声を上げて楽しむ彼らの胸に、この夏の余市体験をしっかり刻み付けてあげたい。造物主がご支配するこの愛の空気に身を任せつつ、世から切り取られた別天地のような時間空間を、束の間でも堪能して帰ることができますように。