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聖書随想~イエスの処刑に加担した人々

 

(ルカ福音書第22章63~23章25)

 

ローマの兵卒達は何も深い考えがない。上司が軽視する相手なら嘲笑愚弄も平気でする。そして命令に従って高貴な人の心臓に槍を突き立てることもするのだ。

ユダヤ社会をリードする最高法院の議員たちは自己保身の塊だ。自己の利害に過敏で、社会的地位を守るためには手段を選ばない。わけもわからぬ民衆を煽動し、偽証を立てさせ、詭弁を弄し、総督をさえ脅迫して「力」で押し切る。彼等にとって正義は己が腹である。

ピラトは冷静な判断力のある有能な官吏だ。イエスを無罪と判断して、3度まで民衆を説得しようと努めた。しかし、体を張って正義を貫くほどの情熱家ではない。所詮、力に屈し、我が身の保全を優先する。

ヘロデは、退屈しのぎにイエスを迎えた。人ひとりの命がヘロデの前では慰み物にすぎない。何か奇跡でも見せて好奇心を満足させよ、と要求し、黙殺するイエスを侮辱する。

群衆!煽動されやすく、群集心理に飲まれて、どんな恐ろしいことも大胆にやってのける者ども。一人ひとりは恩人をさえかばえぬほどの弱虫なのに、群れなして力を頼むと、盲目的情熱で正義さえ踏み倒す。ああ!!この中に、私たちも又、いるのだ。